東京商工リサーチが5月に実施した「2017年賃上げに関するアンケート調査」結果(有効回答数5913社)によると、2017年4月に賃上げを実施した企業は約8割(構成比82.6%)にのぼった。実施の内訳は、「定期昇給のみ」が29.6%でトップ、次いで「定期昇給+ベースアップ」が15.5%、「定期昇給+賞与増額」が14.0%の順。中でも中小企業ほど、「従業員の定着」など人材流出を防ぐための賃上げに取り組んでいる実態が浮き彫りになった。

 「従業員の定着」が目的の賃上げは、資本金1億円以上の大企業が46.6%、同1億円未満の中小企業が53.8%で、中小企業が7.2ポイント上回った 。ただ、賃上げの効果は「社員のモチベーションが上がった」が55.0%でトップだったが、「効果なし」も21.7%あった。効果がなくても今後も賃上げを行う企業は68.3%あった。大手との収益格差が広がるなか、賃上げと人材確保、収益負担の板挟みで苦慮する中小企業の悩みがにじみ出ている

 定期昇給の上げ幅(月額)は、最多は、「5000円以上1万円未満」が27.3%で約3割を占めた。平均値は5774円、中央値は3050円。資本金1億円以上では、「5000円以上」が半数に近い44.6%だった一方、1億円未満は「5000円以上」が33.7%にとどまり、規模により定期昇給の上げ幅が異なった。ベースアップの上げ幅(月額)は、最多は、「5000円以上1万円未満」が21.0%。平均値は6679円、中央値は3000円だった。

 賃上げした理由は、「従業員を定着させるため」が、52.8%で過半数を占めた。資本金別では、1億円以上は「従業員を定着させるため」が 46.7%に対し、1億円未満は「従業員を定着させるため」が53.8%と過半数を占め、7.1ポイントの開きが出た。中小企業ほど賃上げで従業員の定着を促していることがうかがえる。賃上げによる人手不足の解消の可否は、「分からない、どちらとも言えない」が54.0%で過半数を占めた。

 「解消できた」は18.4%、「解消できなかった」は27.6%で 、賃上げが必ずしも人手不足解消につながっていない。資本金別では、「解消できた」は1億円以上で16.0%、1億円未満は18.8%と、ともに2割に届かなかった。また、「解消できなかった」は1億円以上が27.3%に対し、1億円未満は同27.6%と、それぞれ「解消できた」を上回った。大企業、中小企業とも賃上げに取り組む中で、賃上げだけで雇用改善は難しくなっているようだ。

 同アンケート調査結果は↓
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20170614_01.html