ニッセイ基礎研究所の年金改革ウォッチは、パート労働者の厚生年金加入状況を解説している。厚生年金は従来、原則週30時間以上の勤務者が対象だったが、2016年10月から、週20時間以上勤務で他の4条件を満たす短時間労働者へも、対象が拡大された。日本年金機構は、未届出事業所への電話や訪問での勧奨などを実施。その結果、厚生年金に加入している短時間労働者は、改正直後には約20万人、年度末には29.5万人となった。

 今回の年金制度の改正にあわせて、事業主へのキャリアアップ助成金も改正され、短時間労働者の週所定労働時間を5時間以上延長して厚生年金に加入した場合などに、助成金が交付される。そのため、年度末の29.5万人以外に、今回の改正を機に週労働時間が30時間以上になって新たに厚生年金に加入したケースもあると思われる。改正直後の2016年10月の厚生年金加入者は3808万人で、前月比+30万人、前年比+128万人だった。

 2016年9月末が前年比+99万人で同年8月末が前年比+98万人などの状況を踏まえると、今回の改正の影響(適用範囲が拡大された影響と助成金で労働時間が延びた影響等の合計)は、2016年10月末時点で30万人近くにのぼると推察される。また、2016年10月末の厚生年金加入者のうち、短時間労働者はその0.6%(21万人)だった。性別をみると、厚生年金に加入した短時間労働者の69%は女性だった。

 10月の労働力調査では同様の労働時間数のパート等の83%が女性だったのと比べて、男性の比率が高くなっている。詳細は不明だが、大企業等での定年後の継続就労者が、今回の適用拡大の対象となるケースなどが考えられる。厚生年金に加入した短時間労働者の月収(標準報酬月額)をみると、女性では15万円未満が約9割を占めて平均額は12.0万円、男性では月収15〜30万円が女性よりも多く3割にのぼり、平均額は14.0万円だった。

 2016年10月の適用拡大は正社員501人以上の企業等に強制適用されたが、2017年4月からは、(1)地方公共団体は規模に関わらず強制適用、(2)正社員500人以下の企業等で労使が合意した場合は任意適用、されている。人手不足の下、人材確保策の1つとして任意適用の普及が予想されている。

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